〒664-0899

兵庫県伊丹市大鹿5丁目23

営業時間:平日9:00~17:00

(土日祝、お盆・年末年始を除く)

TEL|072-707-2808

SNSSNS

Menu

SNSSNS
キービジュアル

製品について

About Our Products

工房について

ダミータイトル

革とともに歩んだ人生が、財布になる

palace.undの製品を作てくださっている工房の職人さん インタビュー

家業ではなく、「好き」から始まった革の道

今回お話を伺ったのは、国内で革産業が根付く地域の一角で、革小物づくりを行う工房の職人さん。
現在は財布や小物の製作を軸にしていますが、最初から革の世界にいたわけではありません。
学生時代は保育を学び、卒業後は別の地域(都市部)でしばらく、保育・介護の仕事に携わっていたといいます。
「父がものづくりをしていたので、ミシンの音が生活の一部ではありました。でも当時は、この仕事をやりたいとは全く思っていなかったんです」
転機が訪れたのは地元に戻った頃。
家業は“鞄の下請け工場”でしたが、以前のように「作れば売れる」時代ではなくなり、仕事量が落ちていく現実があったそうです。
「父が鞄、自分が小物。二本柱でやっていこうとなりました」
こうして財布・革小物の技術を学び、工房としての新しい流れが始まります。

地域の流れの中で、財布づくりに出会った

革小物の技術は、父から直接受け継いだものではありません。
背景にあったのは、産地としての取り組みでした。
この地域では、国内生産が価格面で厳しくなる中、「問屋依存から脱すること」「自分たちでブランドとして価値をつくること」を目指す動きが広がり、産地全体のブランディングが進んでいました。
その流れの中で「鞄だけでなく、小物や財布も必要だよね」という話が持ち上がり、公的支援なども活用しながら、財布職人の講師を招いて学ぶ機会がつくられました。
「もともと革製品が好きで、都会にいた頃もいろんなお店を見て回るのが楽しかった。そこで参加したのがきっかけです」

「小さな幸せ」を届けたいという、原体験

この工房のものづくりの出発点にあるのは、「使うたびに、気分がふっと上がる」という感覚です。
「雰囲気のいい財布を見つけて使うと、買い物のときに取り出すたびに“いいな”って思える。この“使うたびの幸せ”が大事だと思っています」
派手な驚きよりも、日常の中で何度も感じられる“ちょっと嬉しい”の積み重ね。
その感覚を、革小物という形にして届けたい――そんな想いが伝わってきます。

目指しているのは「商品」ではなく「技術」の最高峰

職人さんが語る「最高峰」は、価格やブランド格ではなく、技術に対する姿勢のことでした。
「技術を教えてくれた方がトップクラスの職人でした。その技術を継承して残していきたい。安かろう悪かろうではなく、良いものをしっかり作って満足していただきたいです」

風琴マチと菊寄せ――消えつつある日本の技術を残したい

風琴マチ(ふうきんまち)

一般的なマチは内側に折れていますが、風琴マチは外側に折れている構造。
これによってカードやお札が引っかかりにくく、出し入れがスムーズになります。
ただし縫製ができず、折り紙のように「切って」「折って」「貼って」を繰り返して作るため、非常に手間がかかります。
「量産が難しくて嫌がられて、作る人が減ってきている。でも日本ならではの技術なので、ちゃんと残していきたいです」

菊寄せ(きくよせ)

革の角をヘリ返しする際、菊の花びらのように細かなヒダを放射線状に寄せて、角を美しく仕上げる技法です。
「海外製品は角が粗いことが多いけど、日本人はここも綺麗にしたい。時間はかかるけど、職人気質が出る美しい技術だと思います」

断面仕上げは、見た目だけでなく“修理性”も変える

革の仕上げにはいくつか選択肢があり、工房では好みに合わせて幅広く対応しています。
・断面に塗料を塗る「切り目」
・断面に染料を染み込ませて磨き上げる「本磨き」(日本ならでは)
本磨きは塗料を使わないため剥がれにくく、摩耗しても磨けば戻せるというメリットがあります。
「塗料仕上げは剥がれたら縫い直しになるけど、磨き仕上げは磨けば元に戻る。修理の仕方が変わってきます」
見た目の印象も異なり、
・磨き仕上げは柔らかい印象
・塗り仕上げはシャープな印象
といった“好み”にもつながるそうです。

革は“育てるもの”。一番のケアは「毎日使うこと」

製作で扱う革の中には、ヌメ革でありながら柔らかく、経年変化を楽しめるものがあります。お手入れについて職人さんは、意外なほどシンプルに語ります。
「バンバン使ってもらった方がいい。ほったらかしが一番よくないです。使わないで置いていると紫外線だけで焼けて、エイジングというより色が飛ぶ感じになります」
表面にはワックスが塗ってあり、それが落ちて地の色が出て、そこから色が変わっていく。
乾きが気になってきたら、少量だけクリームで保湿する程度で十分とのことでした。

工房見学:財布づくりは“手仕事の比重”が大きい

工房は複数フロアに分かれ、工程ごとに役割が整理されています。
・材料の保管
・手仕事中心の工程(貼り・返しなど)
・裁断・縫製など機械工程
財布は鞄と比べてパーツが小さく、貼る・返す・漉くといった手仕事が多いのが特徴です。
漉き(すき)は0.1mm単位で厚みを調整し、重なる部分が分厚くならないよう薄くする。
曲げる部分は割れないように加工する。
すべてが“理由のある工程”として積み重なっていました。
PDF資料はこちら